皆さんこんにちは、エンドルフィンズ代表の田上です。
今回は、マーケティングのフレームワークの一つ『4C分析』について解説していきます。
ホームページやWebサイト制作、もっと言えば自社サービスや商品開発において、よくある失敗パターンは『顧客視点』を忘れてしまうことです。
きっとこんなニーズがあるだろう、こんなサービスはウケるはず!といった事業者視点で作ったホームページは、多くの場合期待通りの流入数に達せず、不発に終わってしまいます。
今回は、そんな『事業者視点』に偏ることなく、『顧客視点』を取り入れるのに有用な『4C分析』について解説していきたいと思います。
目次
『4C分析』とは?
まずは、『4C分析』とは何か?について解説していきます。
以前、以下の記事で『3C分析』について解説しましたが、3C分析が顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)の3つの要素を分析することによって、自社の強みを定義するフレームワークであったのに対し、
『4C分析』は、
- Customer value(顧客にとっての価値)
- Customer cost(顧客の負担)
- Convenience(顧客にとっての入手容易性)
- Communication(顧客とのコミュニケーション)
この4つの要素を分析することで『顧客視点』を分析・深掘り出来るフレームワークになります。
多くのビジネスシーンで事業者が陥りがちな失敗として、『自社視点』を正しいと思い込んでしまうことが挙げられます。
ホームページ・Webサイトからの流入が伸び悩んでいる場合や、売り上げが伸びずに悩んでいる場合、新たに打ち出した商品・サービスが伸び悩んでいる場合、ほとんどの場合で『顧客視点』に立ちきれていないことが原因の一端です。
『4C分析』は、全ての要素に顧客という単語がついていることからもわかる通り、サービスや商品を利用・購入する消費者側からの視点で考えていきます。
この分析を元に『顧客のターゲット像』『他社と比較して自社のポジション』『顧客がもっているニーズ』を定義し、最終的に自社の売上向上に繋げていく施策になります。
『4C分析』の目的
例えば、『4C分析』のフレームワークを用いて、既存のホームページやWebサイトを振り返ってみると、問題を抱えている部分が見えてきます。
ユーザーが、商品自体に大きな価値があると満足していても、Webサイト上で入手しにくかったり、その後の配送手続きで時間が掛かってしまっていたりと不便に感じている場合があります。
入手方法に不便さを感じているのならば『4C分析』のConvenienceを元に販売経路を検討しなおさなければならないでしょう。
この様に『4C分析』は、顧客が自社のホームページ、自社サービス、自社商品などに触れる工程毎の解像度を上げる目的のために使用します。
実際のターゲット像を踏まえて、サービスの検討から利用後までを時系列で分析することで、顧客が抱えている不満や、満足している点を情報収集の段階から実際に利用したときまで網羅的に捉える為に『4C分析』を利用します。
『4C分析』のポイント
それでは、『4C分析』の要素を一つ一つみていきましょう。
ポイント1:Customer value(顧客にとっての価値)
一つ目の要素は『Customer value(顧客にとっての価値)』です。
顧客にとってホームページやWebサイト、商品や提供するサービスで得られるメリットは何なのか?を分析します。
顧客のもっているニーズは多種多様です。自社の中で議論をしていた商品の価値を顧客がその通りに受けとめているという事例は少ないです。この要素を分析する時には必ず満足度の高い、実ユーザーから直接話を聞きましょう。
例えば以下の様な事例があります。
ある小売店を経営する企業が実店舗と並行してECサイトを展開していました。しかしながら、売り上げのほとんどは実店舗からでECサイトはほとんど売り上げに貢献していませんでした。
その会社はECサイトを閉じるか検討していましたがアクセス解析してみると非常に多くのユーザーがECサイトを訪れていることが判明し、ユーザーヒアリングを行ったところ、ユーザーはECサイトを『商品カタログ』の様に使っていることが判明しました。
実店舗に行く前にチェックするし、新商品が出ていないかを定期的にチェックする為にECサイトに訪れていました。
このケースの場合、企業視点ではECサイトを商品販売口として価値提供していたのに対し、顧客視点では商品をいつでもどこでもチェックすることができるカタログとして価値を感じていたという例でした。
『Customer value(顧客にとっての価値)』の工程では、自社サービスや商品にどんな価値を感じてもらっているのか?という点を実ユーザーへのヒアリングを通してクリアにしていきましょう。
ポイント2:Customer cost(顧客の負担)
2つ目の要素は『Customer cost(顧客の負担)』です。
顧客の負担とは、商品やサービスを購入する為の金銭的負担の他に、時間的負担や精神的負担も考慮に入れましょう。
金銭的負担に関して、例えば自社ECサイトを立ち上げたいと考えた場合、実店舗で販売するのと比べて送料が掛かる自社ECサイトで商品を買うのは顧客にとって負担増としてか考えられません。
そういった場合には、何度も購入する商品であれば、1ヶ月あたりのトータルでかかる費用を算出し、『サブスクリプションモデル(継続課金モデル)』に切り替えることでトータルの支払金額が減るなど、顧客にとっての負担を軽減する様な施策を考えなければなりません。
時間的負担や、精神的負担は、ホームページやWebサイトの場合、顧客が求めているものを最短で提供できているか、導線設計に改善の余地はないかという視点で分析していく必要があります。
ここでも、自社サイトを利用してくれている顧客にモニターとして普段通りの使い方をしてもらいそれを観察するプロセスを取ることをおすすめしています。
大抵の場合、企業側がアピールしたいポイントと、顧客が見たいポイントは違います。そういったポイントをあぶり出し、どの点が顧客の時間的、精神的負担になっているのかを分析しましょう。
ポイント3:Convenience(顧客にとっての入手容易性)
3つ目の要素は『Convenience(顧客にとっての入手容易性)』です。
顧客にとって商品の購入やサービス利用の利便性がいかに高いかという観点で分析します。
ホームページやWebサイトでは、手続きのしやすさやコンバージョンの容易さなどが大切なポイントになります。
例えば、ホームページやWebサイト制作を検討し始めたばかりの企業が、いきなりWeb上で見つけた制作会社にホームページ上で問い合わせをする確率は極めて低いでしょう。
一方で、ホームページ上でサービスの内容や料金形態などをまとめているPDFをダンロードできる口を用意しておけば、一旦その資料をダウンロードして社内で検討することが可能になります。
この様に、自社ホームページに訪れるユーザーがどんな情報を求めていて、その情報の入手容易性がどの様に設計されているかという視点で分析すると良いでしょう。
ポイント4:Communication(顧客とのコミュニケーション)
最後の要素は『Communication(顧客とのコミュニケーション)』です。
この部分では、顧客と継続的にコミュニケーションを図れる環境を整えているかという観点で分析していきます。
顧客は何か購買行動を起こす際に、既に取引関係にある先、もしくは頭の中に入っている先に対してアクションを起こします。TVでCMを流していtoC向けの商品などは、まさにこの『何かアクションを起こす時に真っ先に想起してもらうため』に多額のお金を投資します。
ホームページやWebサイトを運営する上で、この想起してもらう状態を作るのに最も有効な手段は『ダイレクトメール』です。よってここのステップでは、どれだけ顧客と継続的なコミュニケーションを取れているか、もっと言えば『ダイレクトメール』を送れる環境を整えているかをチェックすると良いです。
例えば上述の例の様に、ホームページに自社のサービスや料金形態の資料をダウンロードできる形態にしておいた場合、ダウンロードの条件として顧客のメールアドレスを入力する仕様にしておけば、見込み顧客リストを作成でき、継続的にメールでアプローチが可能になります。
また、仮にホームページ制作を請け負い、納品した後も継続的にお役立ち情報を送り続けると、次回のリニューアルの際もだとか、他のシステム面での仕事を請け負える可能性が高まります。
この様に、顧客と継続的なコミュニケーションを取れる環境を整えているか、という観点からチェックしてみましょう。
『4C分析』で顧客視点を定義する、まとめ
今回は、顧客視点でホームページやWebサイトを振り返るフレームワークの一つ『4C分析』について解説しました。
事業者はどうしても検討の段階で顧客視点が疎かになりがちです。4C分析などのフレームワークを使うことによって、強制的に顧客視点を入れ、事業者視点に偏ることを抑制できます。
事業者視点で作られたホームページやWebサイトは、一度走り始めてしまうとなかなか根本的に変更することが難しくなりますので、プロジェクトのスタート地点で顧客視点を検討できているのがベストです。