皆さんこんにちは、エンドルフィンズ代表の田上です。
3月期決算の会社は、年明けから本格的に次年度の予算を策定するタイミングに入るかと思います。
そこで今回は、来期こそはウェブマーケティングに力を入れたい!と思われている担当者の方向けに、
自社のウェブマーケティング施策の改善ポイントをどの様にして洗い出すべきか?
社内で決済を取りやすくするためにはどの様なポイントに気をつけるべきか?
といったポイントに絞って解説していきたいと思います。
目次
キーワードは『改善』
自社内で新たにウェブマーケティング施策に取り組む際に、大切なキーワードは『改善』です。
会社の中では、新たに何かを始めようとした時に必ず現状維持バイアスがかかります。要は、新しい取り組みはリスクもあるし面倒くさいという心理的障壁です。
何か新しいことを始めるというよりも、今既に行っている施策の一部分を改善するという文脈で説明するほうが、会社内での決済が進みやすいです。
その文脈で説明するためには、まず現状の施策を可視化する必要があります。その上で、どの部分に課題であり、それをどの様な方法で改善すべきか、その結果どの様な効果が得られるのか、というプロセスで説明すると説得力のある提案が可能になります。
以下では、多くの業種・業態で応用できるウェブマーケティングの施策の可視化例を示しています。
ざっくりと
フェーズ1:集客
フェーズ2:見込み顧客の育成
フェーズ3:商談
の3つのフェーズに分けて可視化していきます。
フェーズ1:集客
フェーズの1つ目は、集客です。
集客に関する施策をしていない企業はほぼいないでしょう。ウェブマーケティングの文脈ではWebサイトを使った集客やSNSを使った集客などが代表的なタッチポイントです。
集客に課題があるかどうかは多くの場合以下の3つのメッシュで可視化・分析していけば分かります。
1、リード数(集客総量)
2、受注率
3、ROMI(マーケティング投資対効果)
1つ1つ説明していきます。
1−1:リード数(集客総量)
自社で保有しているアプローチ可能なリードの総数。
ここが少ない場合は、そもそも世間に認知されていない可能性が高いので、広告やSNSでの発信、オウンドメディアなどの立ち上げなどの施策が必要となります。
1ー2:受注率
マーケティング施策で集めたリードに対しての受注率。
リード自体はうまく集められているけれど、その後の受注率が伸びない場合は、Webサイトのコンテンツがユーザーの求めている情報と乖離している、サービスの魅力度が低い、営業担当者のコミュニケーションがうまくいっていない、など様々な要因が考えられますが、総じて言えるのが自社内の問題であるという点です。
分析して改善点を明確にできれば、企業努力によって改善が可能になるポイントになります。
1ー3:ROMI(マーケティング投資対効果)
マーケティング施策に投資した金額に対してどの程度売上が増加したか。
この部分は最適なマーケティング施策を選択できているかの判断基準になります。
収益率の低い商材を扱っている企業が、費用対効果の低いマーケティング施策を実施している場合、数が売れても利益率が上がらないといった状態になりかねません。
費用対効果を確認することで現在行っているマーケティング施策が自社の売上UPに本当に寄与しているのかを検証する良い材料となります。
フェーズ2:見込み顧客の育成
つづいて、フェーズの2つ目は見込み顧客の育成です。
見込み顧客の育成フェーズは以下の3つのステップで可視化できます。
1、潜在顧客のフォローリソース
2、コンテンツの生産体制(追客ネタ・検討促進)
3、コミュニケーションの質
見込み顧客の育成フェーズに課題があるかどうか上からチェックしていきましょう。
1つ1つ説明していきます。
2ー1:潜在顧客のフォローリソース
集客したリストに対してマーケティング施策を行うリソースが確保できているか。
集客後の潜在顧客を育成するフェーズで人的リソースや資金的リソースが足りているかをチェックしましょう。
ウェブマーケティングに力を入れたいけど、あれもこれも一人の担当者でやらなければならないといった体制では無理があります。
改善策と必要人員をしっかりとまとめて決済を取れる様に努めましょう。
2ー2:コンテンツの生産体制(追客ネタ・検討促進)
潜在顧客の育成を行うためのコンテンツやネタがどれくらいあるか、コンテンツを継続的に生産できる体制が整っているか。
潜在顧客の育成に置いて非常に重要なのが継続的にアプローチし続けることです。その為、新商品の情報や、ニュース、お役立ち情報など、折に触れて潜在顧客にコンテンツを送信することが必要になります。
コンテンツの継続的な生成は並大抵の労力ではありません。プロジェクトのスタート時は継続していたけども途中で誰もコンテンツを作らなくなりなあなあになってしまっているケースも散見されます。
コンテンツを継続的に量産できる体制が取れているかもチェックしましょう。
2ー3:コミュニケーションの質
潜在顧客との前向きな接点を作るためのコミュニケーションと検討を促進するためのコニュニケーションを自社で行うことができているか。
このポイントに問題がある場合は、まずは社内教育に予算を割くべきです。
その前提でウェブ上で取りうる施策としては、潜在顧客へのアンケートを実施するといった手段があります。
フェーズ3:商談
最後のフェーズが、商談です。
商談に関わるチェック項目は以下の3つです。
1、受注率
2、LTV(顧客生涯価値)
3、均質化
1つ1つ説明していきます。
3ー1:受注率
アポイントから受注までに至る平均確率です。
受注率が低い場合は、その原因を探ることで売上UPに寄与できます。
3ー2:LTV(顧客生涯価値)
成約に至った企業が追加の契約も含めて最終的に発注する合計金額。
一定期間内での総受注金額で算出することが一般的です。企業努力としてはこのLTVを最大化することを目標に様々な施策を打つべきです。
代表的な施策としては、受注後も顧客に対してお役立ち情報を送るなど、継続して接点を作ることが挙げられます。
3ー3:均質化
上記、受注率、LTVが営業担当者によってばらつきがないか。
こちらの均質化が図れていない場合は、受注率の高い担当者のノウハウをナレッジ化し、社内共有を図る施策を考える必要があります。
改善点の洗い出し
以上が大きなウェブマーケティング施策を可視化する際のフェーズ分けと、そのチェックポイントになります。
多くの企業でこのフェーズ分けが適用でき、どこかしらに問題を抱えています。フェーズ毎にチェックしていき、どこに改善ポイントが潜んでいるかを洗い出しましょう。
改善点の洗い出しの際に意識しておきたいポイントが以下の2つです。
1、正確なデータを計測できているか
2、改善ポイントが明確になっているか
正確なデータを計測できているか
意外とこの点でつまづかれる企業が多いのですが、そもそも自社で行っているマーケティング施策の効果測定ができていないケースがあります。
Googleアナリティクスは導入しているけども、コンバージョン(ゴール)設定を行っていないだとか、データを時系列で分析することをしていない、そもそもデータの見方がわからないなど、原因は多岐に渡ります。
まずは、ウェブマーケティングで達成したい目標を定めてそのために必要なデータを計測できる環境を整えましょう。
改善ポイントが明確になっていない
この点は、上述した可視化の考え方で明確になると思います。
企業によっては、改善するポイントが明確になっていないにも関わらず、流行っているからという理由で新たなツールの導入を決めたといったケースが見られますが、そのほとんどで良い結果が出ることはありません。
まずは、改善ポイントの明確化から取り組みましょう。
成功事例と施策の調査
改善ポイントが明確になったら、その改善ポイントを解消した事例を探しましょう。
また、その改善ポイントの解消を強みと謳っている企業はないかを探してみましょう。
例えば、集客におけるリード獲得数が少ないという点が改善ポイントであれば、集客を最大化させる施策の検討や、ウェブ集客を得意とする企業の選定が効果的です。
潜在顧客の育成におけるコンテンツ生産体制が改善ポイントであれば、「どのようなコンテンツを」「どのように」「誰が」「いつまでに」用意するかを計画したり、外注化を含めたコンテンツ生産体制を構築することが得意な企業の選定が効果的でしょう。
商談現場での受注率が悪い場合は、アポイントの質や営業の質、資料の見直しが必要です。
社内での決済をとる、という文脈では改善ポイントの明確化と合わせて、どの様に改善すればどの様なリターンを得られるのか、成功事例の例示があると進みやすくなるでしょう。
関係各部の利害関係を調整しよう
改善ポイントの選定および、実施すべき施策や企業が選定できたら、それらの施策を実施することで影響を受ける他部署はないかチェックしてみましょう。
多くの場合、決済プロセスの中で異議を唱えられる理由は『聞いてない』といった、施策とは関係のない部分だったりします。
改善ポイントが明確になっていると、費用対効果の部分や、社内リソース、競合他社の情報など、その施策に対して説明すべきポイントも明確になってきますので、関係各部署がそれぞれ気にするであろうポイントをまとめて事前に説明を行っておきましょう。
自社のマーケティング施策を分析する方法、まとめ
今回は、自社のウェブマーケティング施策の改善ポイントをどの様にして洗い出すのか、社内で決済を取りやすくするためにはどの様なポイントに気をつけるべきか?といったポイントについて解説しました。
ウェブマーケティングにおける改善ポイントなどは、難しい様に見えてそこまで多くの種類はありません。今回説明したフレームワークに当てはめて考えてみると改善ポイントが見つけやすくなるかと思います。
改善ポイントを明確にした上で、しっかりと予算をとり、売上UPなど結果につながる本質的なウェブマーケティング施策をとれる体制を目指しましょう。