皆さんこんにちは、エンドルフィンズ代表の田上です。
今回から4回にわたって、ホームページリニューアルに我々が行なっている戦略の立て方の概要をご紹介しようと思います。
ホームページのリニューアルの際に多くのクライアントから『ホームページに何を書けば良いかわからず困っている。』というコメントをもらいます。
多くのビジネスマンが、自社に所属している以上、自社の強みや商品の強み、競合他社との差別化ポイントなど把握していて当たり前だと思っているかもしれません。しかし、いざホームページリニューアルの際に、自社の強みを記載しようとして初めて多くのクライアントは、その当たり前が簡単にできないものだと気づくのです。
この様な状況をポジティブに捉え、ホームページのリニューアルを『今一度自社をしっかりと理解する良い機会』と捉えることができると成果の出やすいホームページリニューアルを行うことが可能になります。
今回は、自社を理解することも含め、ホームページのリニューアルだけに留まらずリニューアル後も有益な情報として社内で重宝される様な『戦略の立て方』について解説できればと思います。
目次
戦略の立案、4つのステップ
我々がクライアントに対し戦略立案をお手伝いする時に設定する主なステップは以下の4つです。
- 自社を理解する
- 自社のお客様を理解する
- 自社の競合他社を理解する
- 自社の戦略の質を上げる
この一つ一つのステップについて記事を分けて詳細に解説していこうと思っています。今回のこの記事では、1の『自社を理解する』について解説していきますが、まずはこれら4つのステップを簡単にご紹介しておこうと思います。
自社を理解する
まずは自社を理解することから始めます。詳細は後の項でまとめますが、創業時のストーリーや、発展の歴史、なぜお客様から選ばれているのかなどの強みなど、様々な角度から自社についての理解を深めていきます。
歴史が長い会社、規模が大きい会社であればあるほど理解に掛かる手間と時間は増えていきます。
自社のお客様を理解する
次に自社のお客様の理解を行います。お客様が抱えている困りごとやニーズ、自社が提供しているサービスの何を価値と感じているのかなど、徹底的に『お客様の目線』を理解していきます。
このステップを踏むことで、お客様目線で見た自社の解像度が向上していき、社員も知らない自社の一面に気付けたりします。
自社の競合他社を理解する
次に競合他社の理解に取り掛かります。ここでは自社が考える競合他社と併せて、ステップ2で行った、自社のお客様が考える競合企業(商品の購入やサービスの導入の際に比較検討した会社)に対しても分析のアプローチを行います。
自社の戦略の質を上げる
最後にステップの1から3までに行ってきた分析・戦略の立案の質を上げるステップを取ります。
このステップを入れることによって、戦略立案後の実行フェーズでの成果の出やすさに雲泥の差が生じます。
それでは、今回はステップ1の『自社を理解する』ために必要なことを解説して行きます。
自社を理解するために必要なこと
自社の理解は、全ての戦略の根底になるものです。よって我々は、戦略策定の最初にこの工程を置いています。
以下は、自社を理解するために我々が作成しているチェック項目です。
自社の歴史を理解する
まずは、歴史、つまり時系列で自社を理解していきます。以下の項目に沿って調査をしていきます。
創業ストーリー、開発秘話
会社の創業ストーリーや代表的なサービスの開発秘話などを調べると、元々どの様な想いで会社が立ち上がったかがわかります。
創業時の状況と現在の会社の状況を見比べることで、良いギャップ・悪いギャップどちらも見つけることが可能になります。それがそのまま自社の良いアピールポイントとこれから更に改善できることに繋がっていきます。
また、多くのケースで創業当時に提供していた商品、サービスと現在提供している商品、サービスは違います。なぜ提供するものを変えたのか、その意思決定の背景にあるものは何なのかを掘り下げて行くと、現在につながる大切な価値観が垣間見えてきます。
ミッション、ビジョン、実現したい世界観など
最近は、MVV(Mission(ミッション)、Vision(ビジョン)、Values(バリューズ))など、自社が大切にしている価値観、目指すべき方向性、実現したい世界観などをホームページ上に掲げている企業が多くなってきました。
すでに掲げられているMVVを再度見直してみて、その背後にある思想を推察しましょう。その上で、社内の経営層や、MVVの立案を指揮した部署などにコンタクトし、MVVが出来上がるまでの検討の経緯などの情報を取り付ける様に努めましょう。
MVV作成の検討の過程から、自社が本当に大事にしていることが見えてきます。
経営方針、行動指針
経営方針や行動指針も最近は社員の目に見える形で明文化されている企業が増えてきました。
経営方針や行動指針なども、会社のトップ層が今後会社をどの様に変えていきたいかが端的に表されたメッセージになります。こちらも積極的に方針が決められた過程の情報にアクセスする様努めましょう。
短期、中長期の事業戦略
短期・中期の事業戦略も要チェックです。上記の経営方針や目指す姿を具体的にビジネスに落とし込んだ場合、どこに注力していこうとしているのかを理解することができます。
決算資料
決算資料には実に膨大な情報が含まれています。上場企業であれば決算資料の開示義務があり、その中には前述した将来に関する事業戦略なども含まれているケースも多いため、とても効率的に会社の意図が把握できます。
上場企業でない場合でも社員であれば決算資料にアクセスできる企業は多くあります。どんなサービスや商品が自社の売り上げを支えているのか、会社として最も予算を投じているのはどの分野なのかなど、会社の全体像をお金の観点から読み解いてみると、自社の事業戦略がより解像度高く理解できる様になります。
営業資料やパンフレット
営業資料やパンフレットも欠かさずチェックします。
こちらは社内資産と言い換えても良いもので、営業資料などは過去からお客様に対して自社の強みをアピールしてきた経験・ノウハウが蓄積された資料です。
よってそこには自社の強みが純度高く纏められています。
マーケティング施策と体制を把握する
マーケティングに力を入れている企業の場合は、マーケティングのファネルごとに実施している施策と、その運用体制もチェックします。
ファネルごとにきちんとPDCAサイクルを回せる体制が整っていると、戦略として改善する余地が少ないかもしれませんが、そもそも体制が整っていない、ファネルの概念は知っているけども具体的な施策が検討・実施されていないケースも多いため、現状把握のためにチェックします。
お客様から選ばれている理由(強み)の把握
なぜ自社の商品やサービスがお客様から選ばれているのか、クリアに答えることができる担当者の方は、多くありません。
特にホームページのリニューアルなどは、総務部などの取りまとめを行う部署が先導するケースも多いため、なおさら自社のアピールポイントを真に理解できていないケースが多くあります。
そういった場合は前述の営業資料の様に、現場で日々商品やサービスを売っている人たちから情報を共有してもらいましょう。なぜ、自社の商品やサービスがお客様から選ばれているのか、強みはなんなのか、他社との明確な差別化ポイントなどを洗い出してみましょう。
トップセールスの売り文句を把握する
前の項の続きですが、より深く自社の強みを理解するための有用な方法として、トップセールスマンの売り文句を教えてもらう、という方法があります。
日々自社製品やサービスを売っているセールスマンの中でもトップセールスの人は、自社の商品を魅力的に伝える術に長けています。
その中には、他社との差別化要因や、自社の商品やサービスを使うことでお客様のどの様な悩みを解決できるか、などの様々な情報が織り込まれているケースがほとんどです。
ホームページをリニューアルし、潜在顧客へしっかりと自社の強みをアピールするためにも協力を取り付けられる様努めましょう。
GoogleアナリティクスやSearch consoleなどのデータを分析する
最後に、バイアスの掛かっていない情報として、GoogleアナリティクスやGoogle Search consoleなどのデータもチェックしておきましょう。
ウェブ上のユーザーや潜在顧客の隠れたニーズが発見できるかもしれません。
ホームページリニュアールにあたっての戦略の立て方① 〜自分の会社を理解しよう〜、まとめ
上記で挙げた情報を丁寧に取得しながらまとめて行くと、自ずと自社の強み、弱み、特徴、これから向かう先など輪郭がよりクリアに理解できる様になっていきます。
それをしっかりと明文化して、ホームページのリニューアルチームで共有すれば、その後のプロセスで大きな方針のズレは無くなるでしょう。
このステップをまず初めに行うと後の効率性に雲泥の差が出ますので、是非お試しください。
今回は戦略の立て方①として、自社の理解に関するステップを紹介しました。次回は、『自社のお客様について理解する』ステップを解説していきたいと思います。