憲法ってなんだろうその2

ホラクラシー初心者のための、憲法って何だろう?その②

皆さんこんにちは、エンドルフィンズ代表の田上です。

今回は「憲法」に関するまとめ記事の第二弾です。

第一弾のリンクは以下に掲載しております。また、全体のスライドは以下に埋め込んでおりますので、ぜひお手隙の際にご覧ください。

ホラクラシー初心者のための、憲法って何だろう?その①

ホラクラシーはそのシステムの根底に憲法(ホラクラシー憲法)を採用しています。

私の仮説ですが、ホラクラシーの真のパワーを引き出す上でこの「憲法」に対する理解が鍵になり、チームの憲法に対する理解度が真に自由度の高いチームの形成に繋がるのではないかと思っています。

目次

前段

前回は、現代日本における憲法の位置付けや国家権力の基礎知識を学びました。

憲法の代表格である「六法」と国家権力の「三権分立」を併せて考えると、国会が法律を作る権利を行使しながら、行政権を持つ内閣、司法権をもつ裁判所などの国家権力を規制する構造が見えてきました。

今回以降、なぜ憲法がそのように国家権力を縛る役割を求められるに至ったか、その発展の歴史について、以下の3つの切り口から見ていきたいと思います。

  • 憲法が何のために存在するのか(目的)
  • 本当の意味での“自由”とはなんなのか(自由の定義)
  • “自由”であり続けるために必要な個人の振る舞いとはなんなのか(形骸化させないための要点)

憲法が何のために存在するのか(目的)

本記事では、憲法誕生の歴史を遡ることで憲法が何のために存在するのか、その目的について深堀していきたいと思います。

絶対君主が生まれるまで​

憲法の成り立ちを理解するためには、中世ヨーロッパまで遡る必要があります。

ローマ帝国が崩壊した後のヨーロッパ大陸には、大小様々な領主がいる状態でした。領主はそれぞれが好き勝手に振る舞い、絶えず争いが発生している状態でした。

そうした争いを仲裁するために、領主たちは自分達の中から代表者を選出し「王」と名づけ仲裁役として立てました。我々のイメージする王と、この時代の王は全く違ったもので、今でいうところの学級委員長のような役割を担っていたと言われています。

この時代の大切なポイントとして「伝統主義」というものがあります。伝統主義とは、昨日まで行われたことが絶対的に正しく、伝統を変える必要などないし変えてはならないとする慣習のことです。この時代の王は何かしようにも伝統主義に阻まれ、有象無象の領主には好き勝手に言いたいことを言われるという板挟みの構造にあったと考えられています。

そんな中、大きく2つの出来事が起こります。

1つはペストの流行です。ペストが流行すると領主が保有していた多くの農奴が亡くなりました。当然領主の力は落ちていきました。

もう1つは貨幣経済の発達です。ペストの流行によって領主は残る農奴からますます搾取するようになっていきます。力の落ちてきている領主の下にいる農奴は、そなん状態に大きく不満を感じていました。貨幣経済が発達すると、農作物が貯蓄が出来ず作物の出来高によって収入が決まってしまう一方で、貨幣に変換できればその貨幣を使いさらに大きな収益を生むことができ、頭の使いようによって良い良い暮らしができるとして、この時期に多くの農奴が商人に転身していきました。

貨幣経済はますます発展し、商人は多大な財を築いていきました。商業の発展に伴い物流に関する問題が深刻化していきました。盗賊・山賊の被害です。この時代はこれらの盗賊や山賊などの腕っ節の良い荒くれものを領主が雇って争いに参加させるということが一般的でした。

商人たちは、王と領主の対立構造に目をつけ、商品を運ぶ際に山賊・盗賊から守ってくれるなら儲けの一部を献上したり、貸付することを条件として王に取引を持ちかけました。

こうして王の元には、貨幣という多大な財源が構築され、防衛のための私設軍隊を持つに至り、王と領主の間の力の開きがますます顕著になっていきました。

王の権力は時間と共にますます膨れ上がり、ルイ13世の時代に絶頂を迎えます。

マリーアントワネットの「パンがなければケーキを食べればいい」といった言葉も本当にそんな発言をしたか怪しいのですが、要はそれほど権力が膨れ上がっていたことの比喩として捉えることができます。

この時代に「絶対君主」が生まれました。

絶対君主が倒れるまで

絶対君主が倒れるまで

こうして絶大な権力を持つ絶対君主を倒す勢力が生まれてきます。

その勢力誕生のきっかけとなったもの、それが「キリスト教」です。

中世ヨーロッパには、王政の他にもう一つ絶大な権力を持つ組織がありました。それが「教会」です。一方、この時代の教会は腐敗の極みでした。

教会は金儲けのために所謂免罪符を信者に売りつけたり、信者に対して金を貸して利子を取ってはいけないとしながら自分達は金貸し業を営んだり、法皇が密かに女性を囲い子どもを作る、聖職者の地位をお金で売る売官など堕落を極めていました。

そんな中起こったのがルター率いる新教徒による「宗教改革」です。ルターは、旧約聖書を読み込み「予定説」という思想を生み出しました。

予定説

予定説とは、キリスト教における神は「全知全能」であり、人が生まれる前からその人が救われるか救われないかを神によって決められている、とする説です。

一見すると意味がわからないのですが、結果的にこの予定説はヨーロッパを中心に爆発的に広まりました。

この予定説を信じた信者にとっては、例えばキリスト教を信仰していない人を見ると「神は自分を救うためにキリスト教と出会わせてくれた」と考え、自分が今就いている職業は「神が自分のために出会わせてくれた天職」になり、より良い職業が見つかったら「神が転職するために出会わせてくれたもの」となるのです。

つまり、予定説とは究極の自己肯定を信者に与えるの教えでした。

これがこの時代に蔓延していた「伝統主義」を打ち破るきっかけにもなりました。伝統をおかしい思うのは神が気づかせてくれたもの、というロジックです。

予定説2

この神が圧倒的に偉く、人間に自由思想などないという圧倒的な格差を受け入れる予定説は、最初は過激思想として嫌煙されていましたが、上述の通りヨーロッパを中心に爆発的に拡大していきました。

この予定説を信仰する人々をプロテスタント(新教徒)と呼びます。

予定説3

最終的に、この圧倒的格差による思想の変換が、上の図のように伝統主義を破壊し、王と平民の格差を破壊し「平等」という概念を生み出しました。

ピューリタン革命などは、王政の中にいた貴族が反旗を翻し王を殺すというケースも出てきたほどです。過去から家として受け継いできた貴族という地位を捨ててまで神の教えを守るというこの行動から見ても予定説が如何に人々の思想に影響を与えたかがわかると思います。

この圧倒的格差が「平等」という概念を生み出すというパラドックス的な話がとても興味深いです。

この予定説の普及からヨーロッパで数々の革命が発生し、王政が次々と倒れていきました。

ただし、新たな王が即位してもまたその王が権力を使って暴走してしまう、という傾向にありました。

近代化への加速

社会契約説

革命運動や暴動が頻発する時代に「社会契約説」とうい思想が誕生します。

イギリス生まれの思想家、ジョン・ロックという人物が発表した説ですが、それまでの世間の主流は「王権神授説」でした。

王権神授説とは、王の権力は神が授けたもので人々は放っておくと必ず争いを始めるので、王が神から授けられた権力を使って統治する必要があるという説でした。一応これが「絶対君主」が傍若無人に権力を振るってもよいとするロジックの背骨となっていました。

それに対してロックが提唱した「社会契約説」は、自由で平等な人々がお互いに契約を結ぶことで代表機関である国家を形成し、個人に帰属する権利を信託することで社会国家を形成したとする説です。

ロックは、王の権力は元々国民が生まれながらに持つ権利であり、王政は国民の生活よより良くするために生まれた代表機関であってその権力は国民に帰属することを思想として提唱しました。

この思想は現代を生きる我々に非常に馴染みのある思想だと思います。この時代にロックが提唱した思想が、現代の我々の社会思想として機能しているのです。

社会契約説2

この思想が世間に広まり国民の代表機関である国会が、王に対して国民が生まれながらに持つ権利(上の図に記載している主な権利)は国民が生まれながらに持つ権利であり、国民がこれを信託しているものだと認めさせる契約を作ろうとなりました。

この契約こそが現代で言うところの「憲法」の源流です。

こうして近代憲法は生まれた

社会契約説3

よって近代における憲法というものは、絶対君主である王からその権力を国民のものだと認めさせ、暴走を防ぐために作られた契約であったということわかります。

おまけとして、王と人民の間の契約として作成された憲法ですが、旧約聖書を参考にしたといわれています。旧約聖書とは神と人間との間で交わされた契約が事細かに記されており、その契約を破るとどんな天罰が降るかを書き記したものなのです。

欧米社会で契約が文化として根付いているのは、小さい頃にこの旧約聖書を徹底的に読み聞かせられるからだと言われています。契約とは言葉であり、明文化して合意しなくてはならない、というのが子供の頃から刷り込まれているのです。

憲法と三権分立の関係(振り返り)

憲法の仕組み

改めて、憲法における刑法や刑事訴訟法が内閣や裁判所を規制する構造を見てみると深く納得できるかと思います。

行政権や司法権は一歩間違うと無実の人間を牢獄に入れたり、簡単に命を奪うことができる強力な権力です。そういった愚かな行為を国家権力が行うことを防ぐために憲法が用意されており、国民の代表機関である国会が立法権を行使しながら監視している、という体制なのです。

この憲法と三権分立の構造が、人類が長い年月をかけて数々の間違いを犯しながら現時点で辿り着いた権力を暴走させない最適解なのです。

憲法が何のために存在するのか(目的)、まとめ

憲法の歴史まとめ

憲法とは、国家権力が暴走することを防ぎ、国民が生まれながらに持つ権利を守るために作られた概念でした。

なぜ、ホラクラシーに「ホラクラシー憲法」が採用されているのでしょうか。

現代における組織は放っておけば勝手にヒエラルキー型の権力構造を形成します。ヒエラルキーの上位に就いた人は権力を使って好き勝手に振るっていないでしょうか?

ホラクラシー憲法には、組織の権力の配分方法や守べき振る舞いなどが詳細に記載されています。それはヒエラルキー型の権力構造や同調圧力などをはじめとした暗黙知での権力暴走を防ぎ、個人が持つ自由や権利を守ることで、自主性や創造性を発揮しやすくするためだと私は考えています。

各ロールに領域や責務を明文化するルールもこの前提を維持するための仕組みだと考えると納得できます。

次回は、憲法が守りたかった“自由”とはなんなのかを、歴史を振り返ることで学んでいきたいと思います。

本日はこの辺で。

 

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